最後に、今回の“The HILFIGERS LOVE JAPAN”に参加したアーティスト4組を代表して、伊勢谷友介・リバースプロジェクト代表のメッセージ（抜粋）を紹介。

「今回のチャリティの話をいただいた時、僕にはメッセージとして3つの言葉が浮かびました。SURVIVAL、PAIN、SORROWです。SURVIVALは生き残り、PAINは痛み、SORROWは悲しみです。特に今回はT シャツにSURVIVALという言葉をつけて、生き残るとはどういうことか、自分に問うていきたいと思っていました。

大きく見て、東日本大震災の翌年である2012年という年は特別なものかもしれない。復興したのか、まだ途上、手つかずの状態であるのか、人々が個人個人で考える時期に来ているのだと思っています。

SURVIVALという言葉は思いつきです。それを説明するのは難しい。感じて欲しい言葉です。ただ一つ言えるのはSURVIVAL というのは強いメッセージだということです。東日本大震災で被災された方々だけではなく、人類がこの地球に生き残るためにこれからどうすべきか問われていると思うのです。決しておおげさなことではなく。

PAIN、SORROW という言葉は、ある要因があってそこで生まれた感情という感じがします。言わば受動です。痛みは外からは決して見えないもの。人が生きるということはその痛みを抱えながら明日を見ることだと思う。痛みを忘れながら次の日常を作っていく。きちんと今できること、今しかできないこと、なすべきことをやる。そろそろ明日のために生きることを考えなければならない。大局に立った視点を持つ必要があると思っています。

時々僕は思うんです。人間は一旦自分を地球外生物として捉え、地球を眺めてみればいい、と。俯瞰する事の提案です。私たち人間は既に70億人地球上に存在している。早い遅いもあるけれど絶対的に温暖化は進んでいく。化石燃料も枯渇していく。その事実を踏まえているにもかかわらず、それをどんどん使って、人口はふくらんでいっている。この地球を虫瞰的に眺めてもいい。地球を人間の体に例えると、人類はがん細胞のようなもので、地球をむさぼっているのではないかと思います。人類は地球も死んで自分たちも死ぬということを刻々と今、やってしまっているのかもしれない。

だとすると人類は悲しい生物ではないですか。だから、ただ悲しみの存在とならないために、人類は果たしてこれからどうすべきかを考える必要がある。その目線を持った時に、では自分たちが今できることは何かということを考えられると思うのです。その視点を持ったメッセージがSURVIVALだと思うのです。自分が生き残ることではなく、この地球が生き残るために何をするのかが大事なんだと思う。それがひいては人が自然と調和して生きていくことに繋がる。

かつてSURVIVALという言葉は自分の生命力を指す、体力的な意味で使われていたと思います。でも今では違っていて、知恵を伴った言葉として使いたいと思います。個人が自然を念頭において生きていくとずいぶんと社会は違ったものになると思う。一人のSURVIVALではなく、人類のSURVIVALとして自分は生きていきたいと思う。

自分が立ち上げたリバースプロジェクトで、この東日本大震災の後、何度か東北に行って活動しているのも、このSURVIVALという言葉に集約されるのかもしれません。

でも、SURVIVALの内側にはPAINという言葉がたえずあるような気がしています。いわば対の言葉です。Tシャツは、裏にはSURVIVALのロゴを、表にはそのロゴを反転させ写真がかすかに透けて見えるというデザインをほどこしてあります。写真は東北の写真です。その根底になったものを言葉に乗せておくという短絡的な僕のデザインであり、アイデアです。

どこかの丘の上に一人の男が立っている。風が吹いてT シャツがその言葉とともに少しなびいている。その言葉にはSURVIVAL、PAIN、SORROWという意味が含まれている。

それは十分にかっこいいと思いました。

三つの言葉は全部重なっています。SURVIVALは一歩踏み出すことです。」

Text by Takafumi Hojoh