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伊勢谷友介=リバース・プロジェクト代表とMNM赤塚がムネアツ対談!@「COACH × REBIRTH PROJECT」(前編:尊敬してます・編)

写真:恩田陽 / Photos:Akira Onda

現在、6月24日(日)まで、表参道のスパイラルガーデンで、「コーチ・ジャパン」と、伊勢谷友介氏が代表を務める「リバース・プロジェクト」とのエクスクルーシブなコラボレーション「COACH PARTNERS WITH REBIRTH PROJECT FOR 2012 / COACH × REBIRTH PROJECT – reimagine. reinvent. renew.」(記事既出: https://archive.mensnonno.jp/news/?p=9678 )が催されている。

開催趣旨は、“サスティナビリティと社会において責任ある行動をとる”という企業精神に基づいて、東日本大震災の復興祈願と、地球をより良い環境で未来に託すというサスティナビリティへの賛同を広く訴えかけていくというもの。

今回のインスタレーションで展示される作品は、「リバース・プロジェクト」が、「COACH」(コーチ)NY本社にあるワークショップ(工房)に眠っていた廃材や未使用の素材をリサイクルしたアートピース、レザースツール、ベンチなど。そして、今回のコラボと“サスティナビリティ”の象徴として創られたアートピースが、“TRUS KNOT(トーラス ノット)”。

新たな目的を与えられた素材の“リバース”(再生)を表現し、「コーチ」(COACH)のビジョンである機能的でモダンなデザインにも共鳴するそれらの作品は会期中に一般展示され、チャリティオークションに掛けられ、東北復興に役立つ寄贈先をホームページ上で募集するなど、善意によって受け継がれていく。

そして今回、MNM(メンズノンノ・モデル)の赤塚弘卓(20)と、男性モデルの大先輩でもある、リバース・プロジェクト代表の伊勢谷友介氏(36)とのムネアツ対談が実現!

「リバース・プロジェクト」にはもともと興味があったという赤塚だが、大丈夫か!?

赤塚弘卓:大先輩に会えるということで今日はとっても緊張してます(焦)。やっぱり、伊勢谷さんのモデル時代の話から聞いてもいいですか?

伊勢谷友介:緊張しないでよ(笑)。今いくつ?

赤塚弘卓:20歳です。大学生です。僕は若いうちにたくさん経験を積みたいと思ってメンズノンノのモデル募集に応募したんです。

伊勢谷友介:俺は藝大(編集部注:東京藝術大学デザイン学科)時代、モンスーンカフェでアルバイトしていたときにスカウトされたんだよね。ミーハーになるのはイヤだったけど、映画を創りたいという将来の目標があったし、俳優にステップアップした先輩もいたし。モデルから映画監督という道もアリかなと思って。

赤塚弘卓:実際、その夢は実現しましたよね。俳優や映画監督として活躍しつつ、リバース・プロジェクトの代表としてコーチ・ジャパンとの今回のコラボ(編集部注:「COACH × REBIRTH PROJECT – reimagine. reinvent. renew.」)とか、地球の未来のことまでちゃんと考えていたり、本当に憧れなんです。

伊勢谷友介:俺も若い頃はやんちゃだったよ。当時の編集さんに聞いてみるといい(笑)。でも27歳のとき、世界で起きているいろんな事実関係を踏まえて、人類がこの地球を未来に受け継ぐために何が必要か、今の俺に何ができるかについて初めて本気で考えたんだ。

赤塚弘卓:僕は深くは地球の未来のことを考えていないです。毎日のことにいっぱいいっぱいで……。

伊勢谷友介:俺も最初はどこから考えたらいいのかさえわからなかったよ。わからないから考えたわけ。考える内容よりもまず意識的に、考える時間を持つことが大事。たとえば今回の展示もいわばキッカケに過ぎなくて、そこから深く考えて欲しいんだ。

赤塚弘卓:伊勢谷さんとの出会いも僕にとっては大きなキッカケです。

伊勢谷友介:ありがとう。でもね、芸術や映画で人間が創り出せることって、どんなに素晴らしくても虚像に過ぎないんだよ。ひとつの理想やアンチテーゼを作品を通して表現できても、2週間とか1ヵ月経つとほとんどの人の頭の中に残っていなかったりする。

赤塚弘卓:言われてみるとそうかもです。

伊勢谷友介:虚像ではなく、実像こそが本質であるということは、みんな心の底ではわかっているんだよ。でも、目をそらしている。だからこそ俺は、虚像と実像の両方を共存させることで、理想ではなく、理想への階段というものを提案したい。その概念が、俺という存在と世界との向き合い方であり、表現する際の方法論にもなっているんだ。

赤塚弘卓:虚像と実像、難しいです。ファッションもそのひとつですか?深い理念が根底にあっても、彼女とかと一緒にキャッチーに鑑賞できるというか。

伊勢谷友介:いいと思うよ。今回のコーチ・ジャパンとのコラボもその方法論に則ってカタチになったんだ。あの大きな“トーラス ノット”(torus knot)は見てくれた?

赤塚弘卓:はい。なんか初めて観たユニークな形状というか、真正面がよくわからなくて、グルグル曲がって丸まって立っていました。あのデザインはどのようにして決まったんですか?インスピレーションを求めてNYのコーチ本社へ訪れたと聞きましたが。

伊勢谷友介:最初にこのコラボのお話を貰ったとき、まずは俺自身が、ブランドのことをあまり知らなくて。それで、クラフツマンシップの現場に触れて「コーチ」の歴史に触れられるよう、NY本社の工房に伺える機会をコーチ・ジャパンさんが設けてくれた。

赤塚弘卓:その「コーチ」の工房から出た廃材や未使用のレザーを使って、トーラス ノットは“再生”(編集部注:リバース)されたんですね。

伊勢谷友介:そう、あの幾何学的な結び目円環構造は、現代に必要とされる多様化された“サスティナビリティ”の象徴なんだ。あ、サスティナビリティって知ってる?

赤塚弘卓:一応、勉強してきたんですけど、「地球環境を良い状態で保ち将来に引き継ぐ為の試み」を指すんですよね?サスティナビリティという言葉を深く想ったエピソードはありますか?

伊勢谷友介:そういえば、NYの「コーチ」の工房で気付いたんだけど、世界的ブランドは“技術”にお金が支払われているんだな、と。高い生地や装飾もクリエイションの一部ではあるけれど、高度な職人技術をもってすれば、良いモノは長く使えるという当たり前の価値を導き出せる。それは、サスティナビリティも含め、俺たち「リバース・プロジェクト」が掲げる理念と繋がることだった。

赤塚弘卓:僕の「コーチ」のバッグ(編集部注:ヒューゴ・ギネスとのコラボトート)も毎日ヘビロテで使ってますけど、全然丈夫だしカッコイイです。

伊勢谷友介:サスティナビリティだ(笑)。

赤塚弘卓:僕は経済学を専攻してるんですけど、「リバース・プロジェクト」って株式会社ですよね?公共企業とかではない私的利益を追求する私企業同士が理念で結びつくことは、とっても難しいことだと思うんです。

伊勢谷友介:とても大切な論点だと思うよ。

赤塚弘卓:意地悪な質問ですみません。

伊勢谷友介:いや本当に、設立当初(編集部注:2009年)は、ボランティア団体ならまだしも、そんな株式会社は絶対実現不可能だと思われていたから。

赤塚弘卓:特に、コーチ・ジャパンはファッション企業ですし、難しいうえに非常にデリケートなプロジェクトだったと思います。どうやって、「リバース・プロジェクト」が掲げる理念と「コーチ」のファッションイメージを共存させたんですか?

伊勢谷友介:まずハッキリさせなきゃいけないことは、「リバース・プロジェクト」は株式会社であってボランティアやチャリティとは違うアプローチが必要だということ。それこそ、地球と同じく企業の持続可能な成長は俺たちの最重要命題でもあるし、その成功事例を俺たちが身をもって訴えていかなければならない。極論すると、お金があれば巨大なプロジェクトはできる。けれど、俺たちが働きかけたいことは“志の民”を増やしたいということであって、それはお金では決して解決できないことでもある。

赤塚弘卓:ファッションもそうですけど、お金で解決できないことが1番難しいと思います。

伊勢谷友介:そう、そしてそれは、俺たちが最も得意とする分野でもあるわけで。ファッションは表現する人間の真正面に立つものであって非常に重要。人間の欲とか業(ごう)の最たるもので、ファッションには決して抗えないということを、俺はこの業界で経験的に理解している。であればいっそ、効果的に利用すべきであるというのが俺の考え方。

赤塚弘卓:なんかカッコイイです!

伊勢谷友介:暴論かもしれないけど、今回の様な真面目なテーマ(編集部注:「reimagine. reinvent. renew」)を掲げた企業間同士のコラボでも、ファッションという概念を加えるからこそ、面白く受け入れられると思うんだ。

赤塚弘卓:説教っぽくないから面白いです。トーラス ノットのカタチを算出した計算式が殴り書きされた黒板とか。アイスティーのコースターにも「COACH × REBIRTH PROJECT」って書いてあるし(笑)。お茶しながら友達にも鑑賞してもらいたいです。

伊勢谷友介:キミの“志の民”だ(笑)。今夜のパーティにも来てくれる?

赤塚弘卓:もちろんです!メンズノンノ・モデルのみんなで伺います!編集長とかみんな来ます!

伊勢谷友介:楽しみに待ってるよ。ん……?今のメンズノンノ・モデルって9人もいるの!?俺も緊張してきた(笑)。

後編につづく

COACH PARTNERS WITH REBIRTH PROJECT FOR 2012
イベント名:「COACH × REBIRTH PROJECT – reimagine. reinvent. renew.」/場所:スパイラルガーデン(東京都港区南青山5-6-23)/期間: 2012 年6月20日(水)~6月24日(日)/※展示作品はホームページを通して東北復興に役立つ寄贈先を募集する予定/問い合せ先:コーチ・カスタマーサービス・ジャパン(TEL:0120-556-750)
http://japan.coach.com/cji/rebirth/
PROFILE:伊勢谷友介(いせやゆうすけ)
リバース・プロジェクト代表。1976年5月29日生まれ。東京都目黒区出身。日本大学豊山高等学校を経て東京藝術大学美術学部デザイン科卒業後、同大学院美術研究科修士課程修了
http://www.rebirth-project.jp/

写真:恩田陽 / Photos:Akira Onda
Interview & Text by Takafumi Hojoh

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