「ファッションを仕事にする」とは? 業界の先輩に聞きました/前編
河野大地さん(26歳)
ファッションへの入り口は音楽。友達からビートルズ、両親からはジャズの洗礼を受け、“モッズ”ファッションを好きになった。「その後も、60年代から90年代のUKロックを中心にオールジャンル。音楽の話題なら負けません」。アパレル業界に入ると決めた際、販売員が合っていると直感。好きな店だった「O 代官山店」は社員を募集していなかったがアタックした。「僕が入ってから店も大きくなり、接客だけでなく在庫管理などマネージメントの仕事も増えました」。経験できる仕事が多いのは、個人店ならでは。ECサイトが猛威を振るう今、河野さんが腐心しているのは店舗に来てもらうこと。「お店に来ていただければ最高の接客をする自信があるので、SNSや雑誌の力も借りて一人でも多くの方に出会いたい」。音楽をはじめトークの引き出しが多い河野さんの顧客数は群を抜く。「どんな仕事でも、自分で選んで決める。覚悟があれば辛いこともやっていけます」。
BIOGRAPHY
1991年生まれ 福岡県出身
16歳 友達にビートルズを教えられ、音楽とファッションに目覚める
17歳 音楽とファッションの雑誌を片っ端から読みモード系のスタイルにも興味が沸く
19歳 一浪の末に芝浦工業大学に入学。上京が目的だったので都心にある大学の立地を重視
21歳 就活を意識。一生の仕事にするならやりたいことをやろうとアパレル業界に進む
22歳 ウェブで「O 代官山店」のアルバイト募集を見て店に直接履歴書を持参、オーナーに直談判
25歳 「O」の2号店がオープン。店舗を掛け持ちしながら販売だけでなく様々な業務をこなす
志村 隼さん(25歳)
雰囲気のあるルックスと発信力で店頭スタッフの中でも目立っていたところを、バイヤーにスカウトされた。「僕はプレスになりたかった。でもバイヤーも花形なので」。アシスタントとして数回、買い付けに同行するとすぐに仕事を任された。「海外の買い付けではコーディネーター(通訳や取り継ぎ)が同行しますが、数量などは自分で決めなければならず責任は重大です」。スケボーカルチャーに強いこともあり、担当エリアはアメリカの西海岸。「インフルエンサーのインスタグラムをリサーチして気になるブランドやショップを見つけたり、コラボやオリジナル商品を企画することもあります」。「インアンドアウトバーガー」のTシャツやジェイデン・スミスのブランド「MSFTSrep」などのピックアップも早かった。「客を呼ぶ仕掛けをどんどんしていきたい」と意欲的な志村さんにバイヤーに必要な素養を尋ねると「いろいろなところに顔を出して遊ばないと、おもしろいことはキャッチできない」。
BIOGRAPHY
1992年生まれ 東京都出身
16歳 都立高校を中退しジュエリー会社に就職。シルバーアクセサリーの彫金など手に職をつける
19歳 転職してデニムブランドで販売を経験。ワンブランドショップで働くことに疑問を抱く
20歳 知人の誘いでバーテンダーに転身。神田のオフィス街の店で多忙な日々
21歳 アパレルに戻ることを決意、友人の紹介で「ジャーナル スタンダード」に
22歳 新宿店から表参道店に異動。半年後に渋谷店へ移り、一年半後に再び表参道店に配属
24歳 スナップ取材の依頼が増え、カリスマ性を発揮。バイヤーからアシスタントに指名される
Photos:Mao Nakazawa
Text:Hisami Kotakemori