ザ・ビートルズ『愛こそはすべて
(オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ)』
1967年の通算15枚目のシングル盤、そして1969年発表の10枚目のアルバム『イエロー・サブマリン』に収録された楽曲。ビートルズの多くの作品の中でもジョン・レノンが書いた歌詞は難解で有名だ。特にこの曲に関しては、ポール・マッカートニーも1996年のインタビューで「私にもよくわからない」と言っていた。僕の解釈では、“無理せずやれることをやればいいよ 歌にならないものは無理に歌わなくていい 話すことが無くてもゲームに参加することはできるはず”になる。
僕はこの連載で7組の外国人アーティストの歌詞を紐解いてきた。それはずっと前から頭の片隅にあった言葉、ジョン・レノンに「君の好きなように和訳していいんだよ」と言ってもらったと勝手に思い込んで、自分なりにそれぞれの歌詞にのめり込んできたんだ。愛の表現や形は十人十色、ラブソングはそれでいいんじゃないのかな! ルールもないし勝ち負けもない世界、だからおもしろいんだよ。恋愛は無理せず、自分が歩んできた尺度でやれることをやればいいんじゃないの。話題がなかったら、無理に話さなくていいと思うしね。
“知れることは全て知ろうとしよう 見れるものは全て見てゆこう 君を束縛する場所なんてどこにもないんだ”──好奇心は大切だ。自由も今の時代の常識で、あって当然のもの。ただし、あれもこれもやっていると思わぬところで足をすくわれる。得るものは一つでいい。“作れるものは作ろうとしようよ 助けてほしい人がいたら何気なく助けよう 助けることができない人はいないのだから 何もできなくても自分自身で居られるよね?”──自分自身で居続け、やれることをやろう、人は一つの人生しか生きられないから大切に行こうね。
“難しいことじゃない 必要なのは愛だよ 愛さなきゃ 愛こそすべてさ”──愛は相手への想像力だと僕は思っている。親にも赤ちゃんにも、そして恋人にも、何と言ったら喜んでくれるのか? どんなことをしたら気持ち良くなってくれるのか? 相手はどう受け取るか? 傷つくのか? 癒されるのか? 逆に相手の言動に対して敏感になり、ちょっとした態度に歓喜したり絶望したりするときもあるよね。気持ちを汲み取り、理解できるようになって初めて、うまくいき始める。ねえ、ジョン、やっぱ愛だよね? 現代こそ、彼の言葉を素朴に受け止めて取り組んでいけば、必ず道は拓けると僕は信じている。