スケーターって何で候?
スケートボードが生まれたのは1950年代のアメリカだ。60年代には、サーファーの間で波待ち時間のレジャーとしてブレイク。ウレタン製ウィールが開発された1972年に、革命が起こる。
スケートボーディングスタイルを進化させたのは当時、カリフォルニア・ベニスビーチのローカルサーフショップに集まったスケーターたち。「ゼファースケートチーム」を結成したステイシー・ペラルタは76年、ジョージ・パウエルと共にスケーターブランド「パウエル・ペラルタ」を設立。79年には10代の若いライダーを集め「ボーンズ・ブリゲード」というチームを組織する。プロスケーターとして最も成功を収めることになるトニー・ホーク、スティーブ・キャバレロ、トミー・ゲレロらなどのスター選手が在籍して80年代のブームを牽引した。また70年代後半にロンドンに渡航していたペラルタは、いち早くパンクの文化を持ち帰りスケーターのファッションやグラフィックに融合させていった。81年にはハードコアなスタイルを紹介するスケボー専門雑誌『THRASHER』も創刊。80年代初頭、ブームが失速してスケボーパークが減少すると、街中の手すりや階段をスケボーで駆け抜けるストリートライディングが広まり、90年代にかけてのスラッシャーブームを世界に拡大させた。
日本には、70年代半ばにスケボーブームが到来。80年代後半は藤原ヒロシがスケーターとして情報を発信、90年代初頭にかけファッションシーンにもスケーターが急増する。当時、ファッションだけのスケーターは「ポーザー」と揶揄された。そして2000年代初頭の裏原宿ムーブメントにより、スケーターファッションは大きく開花。プロスケーターとしても活躍した江川芳文の「ヘクティク」を筆頭に、裏原宿で人気を集めたショップやブランドはスケーターカルチャーに影響を受けたところが多かった。
ブームが終焉を迎えてもスケボーパークの整備が徐々に進み、2010年代には再びスケーター人口が増加。90年代に青春を送った人々がクリエイターとして活躍するようにもなり、ここ数年はファッションシーンでもスケーター的なストリートスタイルが脚光を浴びている。世界的にもスケーターブームは再燃中で、老舗の「シュプリーム」「ステューシー」などと並び、ロンドン発の「パレス」、スウェーデン発「ポーラー・スケート・カンパニー」などの新進ブランドが人気だ。
90年代にブームを牽引した
老舗スケーターブランド
① ステューシー
カリフォルニアでサーフボードのシェイパーをしていたショーン・ステューシーが、1980年に設立。本人の直筆文字がアイコン。日本上陸は86年、世界各地のクリエイターと繋がり進化し続け、現在に至るまでストリートに君臨する。
② シュプリーム
1994年にジェームズ・ジョビアによってN.Y.にて設立。スケートボードやヒップホップにアートの要素を取り入れたものづくりで一線を画す。その象徴たるボックスロゴは、多くのアパレルやストリートカルチャーに影響を与えている。
③ X-ラージ
ゴリラのロゴでおなじみ、エクストリーム系ストリートブランド。スケーターやラッパーの間で流行したオーバーサイズの服を着るムードをブランド名に落とし込み、1991年にL.A.でスタート。ビースティ・ボーイズのマイクDも出資。
磯部流 スケータースタイル
「スラッシャーブームの90年代に流行した、ロンTへのリスペクトで候。デキるスケーターは細身のパンツにレトロ系スニーカーを合わせるでござるよ。サコッシュは、拙者はだいぶ前から愛用!」
漫画:仲間りょう Text:Hisami Kotakemori