すぴんおふ連載 磯部磯兵衛物語

第十六話 〜革靴とは漢への道と見つけたり〜

 

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革靴って何で候?

「足もとを見る」という言葉があるように、靴はその人のセンスだけでなく身分や教養をも表すアイテムとしてメンズファッションの世界では重要視されてきた。

 革靴のルーツは、古代の寒冷地域で履かれていた革袋で足を包み込み革ひもで縛るモカシンのようなもの。その後、ヨーロッパで現代のような形に進化する。19世紀に鋲打ち機が発明されてミシンが靴づくりに応用されると、マスプロ時代が到来してデザインも多様化。19世紀中頃に内羽根式のオックスフォードシューズが考案され、同世紀末にはスポーツシューズとしてブローグが人気を博す。1930年代はローファーがブレイク、50~60年代のアイビーブームと結びついて定番の仲間入りを果たした。

 靴の一流ブランドは欧米に集中するが、なかでも英国中東部にあるノーサンプトンには「ジョンロブ」「エドワード・グリーン」「トリッカーズ」など名だたる名門が集結しており、靴の聖地として有名。人気の「オールデン」はアメリカ、「ジェイエムウエストン」「ベルルッティ」はフランスのブランドだ。

 服装のシーンを決定づける革靴だが、素材やデザインによっても印象が変わるため、まずは基本的な性格を理解してTPOに合わせ使い分けたい。フォーマルな場面には黒の表革オックスフォードがマスト。ストレートチップならビジネスやリクルートにも申し分なく、一足は持っておこう。近年は、ドレスアップのためにつま先やヒール部分をピカピカに磨く“鏡面磨き”も一般的になった。

革靴のポジショニング解説

主要な6タイプの革靴が、どんなシーンに合うかをチャート化してみた。フォーマルやビジネスは「オックスフォード」または「ダービー」と覚えておけば失敗なし!

モンクストラップ

修道士(モンク)のバックル付きサンダルが原型。パーティにはOKだが、金具がカジュアルな印象なのでフォーマルは避けたい。今年のトレンド靴!

ローファー

甲にモカステッチとベルトのあるスリッポン。「ペニーローファー」とも呼ばれる。トラッドスタイルやジャケパンにはぴったりだが就活などにはNG。

ブローグ

穴飾りのある短靴。カントリーシューズの流れを汲んでいるためカジュアル寄りだが、図にある内羽根式ならばビジネスやパーティにも可。

Uチップ

甲部分のU字形の切り替えが特徴。カジュアルながらデザインやソールによってはフォーマルなシーンにも履ける。ビジネスマンの靴としても定着。

ダービー

競馬の祖・ダービー伯爵に由来、外羽根式のシンプルな靴全般を指す。黒表革のプレーントウはビジネスからカジュアルまで合わせやすく日本人に人気。

オックスフォード

紐締めの短靴。17世紀頃、英国オックスフォードの学生がブーツに対抗して履き始めた。欧米では、紳士靴の中でも一番フォーマルなタイプとされる。

磯部流 革靴スタイル

「社会人デビューは、拙者もスーツでビシッとキメるで候! ネイビースーツの足もとはお約束のストレートチップ。白シャツに爽やかなレジメンタルストライプのタイ、パンツ丈はジャストでフレッシュ感をアピールするでござるよ。一流企業の面接も、これで合格かな」

漫画:仲間りょう Text:Hisami Kotakemori Photo:Yoshio Kato Satoshi Yamaguchi

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