ジャスティン・ビーバー
『WHAT Do You Mean ?』
シャンパンでほろ酔い、フワフワと虚ろいのナイトクルージングに最適かと思いきや、午前中のブルックリンでUberの車内で聴いた、このミディアムアップな楽曲にめちゃくちゃアメリカを感じた。MVもストイック! 悩ましい表情で歌うジャスティン君、上手いね。
内容は振り回される恋愛。男性からすれば「どういうこと?」「訳がわからない」「意味がわからない」の連続。女性としては「言わなくてもわかってよ!」なんだろうけど。ジャスティン君もこの頃、誰かに振り回されていたのかな? 冒頭から“いいよって頷いているのに口では嫌だ” “僕と一緒に居るのにあっちに行って”──こんな翻弄は可愛いもんだ。“私たちには時間がない”──え、引っ越し? 病気? 何々? “君の心を元に戻したい” “僕らは始まったばかり、終わらせたくないよ”──まあ、そうだよね。“最初は左に行きたいと言ったら、やっぱり右に行きたい” “昼はケンカしていたけれど夜はイチャついて、最初は機嫌が良かったけど急に機嫌が悪くなる”──猜疑心がもう止まらなくて、身動きができなくなる…。
これは恋愛という名の修行だ。青年が男になる成長の過程だ。広い心を持とうではないか。“僕が離れようとすると寄って来る。何とか妥協点を探してみるけどうまくいかない。君は「離れたくない」と言わずに説教してくる”──独占欲の表れなのか? 立ちいかなくなるね。もう頭を切り替えろ、ジャスティン。この恋愛は善悪関係無しの衝動だ。理屈ではない。命懸けで彼女を想い、圧倒的努力をするしかない。ダメでもいい、突破するしか道はない。
実は高2のとき、僕にも彼女がいた。松田聖子さん似の超可愛い女の子。同い年。この子が僕を振り回すのだ。「車で湘南をドライブしたい!」って無理無理、免許無いし、車無いし、ていうか高2だし。「今、22歳の杉本哲太くん似の人に口説かれてるんだ! BMWに乗ってるの」って、じゃあその男と付き合えー。当時は携帯もなく、アポを取るのも大変だったな…。強気になったり弱気になったりの当時の僕。でもね、彼女に自分を認めさせようと随分と努力したよ。何せ超可愛いからね。筋トレでシックスパックを目指したり、スパリゾートハワイアンズでバイトをして、原宿や渋谷にしょっちゅう連れて行っては洋服を買ってあげたり、あ、安いヤツね。当時話題のカフェでお茶をしたり、偶然だけど雑誌のスナップ取材も受けたっけ…。他の男にはマネできないストーリーを考え、俺プロデュースのデートを楽しんでもらった。まぁ高校生には限界があるから別れたけど、一生懸命働いて、好きな女性を振り向かせる術を身につけたんだ。
そして数年後、僕が東京でヘアメイクの仕事を始めた頃、その子から「今、いわき駅のホームにいるの。そっちに行ってもいい?」と電話があった。いろいろな男性と付き合ったと思うけど、認めてくれたのかな? でも丁重にお断りした。友達から可哀想だのやんややんや言われたけど、過去のことだし。それに僕には藤あや子さん似の彼女がいたからね。
要するに、恋愛では必ず何かが実るということですよ。今後に反映される。他者への想像力と想いやりを知ることができる。全ては生きる、ということの過程であってビジネスや人間関係にも通ずる。恋愛は成就しなくても良いのだ、だから面白い! お悩み相談室みたいになっちゃったけど、いつの時代にも、どこの国にもあるラブストーリー。振り回されている青年の10年後の魁偉な顔が見たい。