佐野元春『Young Bloods』 | 樅山 敦の歌謡曲が流れるBARBER | MEN'S NON-NO WEB | メンズノンノ ウェブ

樅山 敦の歌謡曲が流れるBARBER

10枚目

佐野元春
『Young Bloods』

 ドラマの主題歌やCMのタイアップ曲、やや湿度が高いというか、こってりというか、そんな曲が強かった80’sの歌謡マーケット。これはこれで嫌いじゃないけれど、85年あたりからは自分たちが好きな音楽を作り、自由にリリースできる環境になっていたのかな。少しづつ、時代の状況の中で受け入れてもらえる曲を提供したいと考える世代が増えてきたんだ。同時期に洋楽ではイギリスのアーティストに近しいムードを感じるようになって。スタイル・カウンシル、スティングなどはクールでスタイリッシュ、そしてカラッとしていた。
 
 日本にもそんな湿度が低い楽曲のアーティストが現れないかなぁと思っていたところに、佐野元春さんが現れた。ドライで軽快な『ヤングブラッズ』がウェットな歌謡フィールドに風穴を開けたのだ。愛だの恋だのと歌っていない、新しい世代に向けてのメッセージが非常にイギリス的だと僕は思った。印象的なフレーズとして特に、“Let’s stay Together(一緒に行こうぜ)”が刺さったね、これこそUKロック歌謡曲。
 
 UKロックってビートルズの影響が大きくて、そこにアメリカのソウルミュージックとジャズの影響が加わったのが特徴と言えるかな。日頃の不満やポジティブな意見を美しいメロディに乗せ、バンド形態でリアルに歌うスタイルは当時の歌謡界にはなかったから、新鮮だった。イギリスのアーティストは熱くなる激しさだったり、つくられた演出を嫌う傾向にあったんじゃないかと思ってる。あくまでも自然体で、シンプルにこだわるんだよね。ワン、ツー、スリーで“出た音勝負”も魅力。
 
 ビートルズから始まりイギリスのアーティストたち、それに佐野先輩は、自分の立場を、聴衆と社会への影響力をきわめて有効に使っているわけだけれど、すごく真面目に取り組んでいたんだよね。その真剣な姿勢に共感したし、新しいと思った85年、僕も真剣に人生を考えだしたような気がする。あのころのUKロックにはカラッとした美メロが多いんだ、ぜひ聴いてみて!
 

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